ヒトは通常、約24時間のサイクルで体内時計が動き、夜に眠り、朝に起きるという活動パターンを持っていますが、これがうまく動かないと、様々な問題に見舞われます。

主な睡眠リズム障害には下記のようなタイプがあります。また、精神的な他の問題によってリズムが崩れてしまう場合もあります。

・夜眠れず、朝起きれない…DWSPD/DSPS

・睡眠時間帯が毎日ずれていく…FRT/non-24

・夜起きていられなくなり、早すぎる時間に目が覚める…ASWPD/ASPS

・シフト勤務などで体調が悪い…Shiftwork

DSWPD/DSPS

朝起きれない。

夜眠れない。

毎日変な時間に寝起きしてしまう。

朝起きられず、夜眠れない病気。朝はひどく調子が悪く、起きてもめまいや吐き気などを生じます。重度になると、朝にはいくら家族や他の人に起こされても充分目を覚ますことができず、場合によっては怒ったり暴れたりして、結局そのまま寝てしまうことがあります。そして学校や仕事、大事な予定などに寝坊して遅刻・欠席してしまい、信用を失っていってしまいます。

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この「朝起きられない」は気合や根性で解決できません。起こされた記憶がなかったり、朝は人格が変わってたりすることは、睡眠酩酊と呼ばれます。
DSWPDの人の体内時計は普通の人より遅れています。日本に住んでいるのに体はヨーロッパ時間で動いている場合もあります。夜になっても体の中は昼、朝になると体は深夜で、うまく寝起きできません。

このタイプの睡眠リズム障害は体内時計が完成する思春期に顕在化することが多く、進路を妨げられてしまう人が多く存在します。小児科で「起立性調節障害」という日本独自の病名をつけられることもあります。(体内での真夜中に血圧は最も低下します。つまりDSWPDの人が朝に起きると、低血圧を生じます。しかし、昼や夕方からは元気です)

「夜眠れない」のも深刻です。夜布団に入っても、1時間2時間平気で経過してしまい、人によっては夜明けまで眠れないこともあります。このタイプの睡眠リズム障害は思春期(10代~20代)に発症することが多く、これによって進路が妨げられてしまう人が数多く存在します。

正式な名称は、「睡眠相後退症候群(DSPS)」「睡眠覚醒相後退障害(DSWPD)」と呼ばれます。(それぞれ国際的疾病分類であるICD-10, ICSD-3の呼称)

(このタイプの睡眠リズム障害:DSPSに関するより詳細な説明→wikipedia)

睡眠障害国際診断分類 第3版(ISCD-3)での診断基準:

A. 望ましいもしくは要求される入眠時刻および覚醒時刻と比べ、主たる睡眠エピソードが著しく後退している。これは、本人や養育者が、望ましいもしくは要求される時刻に入眠および覚醒が困難であることを、慢性的あるいは反復的に訴えることから明らかとなる。

B. 症状は少なくとも3ヶ月は持続する。

C. 患者が自身のスケジュールを自由に選ぶことができる時には、彼らの睡眠の質および持続は改善して年齢相応となり、遅れた位相での24時間周期の睡眠・覚醒パターンを維持する。

D. 最低でも7日間(14日間が望ましい)の、睡眠日誌と可能な限りアクチグラフ検査によるモニタリングによって、習慣的な睡眠時間帯のタイミングの遅れが示される。このモニタリングには、平日と休日の両方が含まれる必要がある。

E. 睡眠障害は、現在知られているその他の睡眠障害、身体疾患や神経疾患、精神疾患、薬物使用、あるいは物質仕様障害ではよく説明できない。

Free Run / non-24

体調の悪い時といい時の差が激しい。

うまく眠れる時期もあれば、全然眠れない時期もある。

それがおよそ1ヶ月の周期で繰り返す。

体内時計は平均的に24時間より少し長く、体は光を使ってこれを日々24時間に短縮し、リズムを保っています。この周期が極端に長い人や、光を感じることができないような人は、24時間サイクルを保てず、睡眠・覚醒や体内時計のサイクルが毎日30~60分ずつずれてしまう場合があります。(1ヶ月前後で睡眠・覚醒のリズムが一周します)

全く目が見えない(全盲)の人の20%以上がこのタイプの睡眠リズム障害にかかっているという調査があります。

体内リズムと外の世界の昼と夜のリズムが噛み合っていれば、朝すっきり起きて、夜ぐっすり眠ることができます。しかしそれがひとたびずれると、「夜はなかなか眠れず、朝は全く起きれない」あるいは「朝ものすごく早く目が覚めてしまい、夕方にものすごく眠くなる」という症状が出ることになります。

正式な名称は、「非24時間睡眠・覚醒リズム障害(non-24)」「フリーラン(FRT)」などと呼ばれます。

ASPS

DSPSとは逆に、睡眠のリズムが早い時間にずれすぎてしまった障害です。比較的高齢者に多いと言われています。

夕方くらいには眠くなってしまい、通常の夜の食事の時間には起きていられなくなる一方で、朝は異常に早く目が覚めてしまい、夜明け前や真夜中に起きてしまうこともあります。

(このタイプの睡眠リズム障害:ASPSに関するより詳細な説明→wikipedia)

Shiftwork

シフトワーク(交代勤務)で睡眠をとるべき時間がバラバラになることで、睡眠のリズムや体調に大きな問題が生じてしまう障害です。交代勤務睡眠障害と呼ばれます。日によって時差ボケのような状態に陥るのと同じ事になります。

本来望ましい活動・睡眠時間帯とずれてしまうことで、不眠になったりするだけでなく、起きている間のパフォーマンスの低下やミスの増大などをきたすだけでなく、最近の研究では一部の癌のリスクとなることも知られています。

交代勤務を要する公務員(警察・自衛隊など)や病院職員(看護師など)、24時間稼働の工場勤務職員、航空会社職員(CA、パイロット)に、このタイプの疾患に悩む人が多いですが、適応できなかった場合には休職や退職を余儀なくされることもあります。

睡眠リズム障害って何?” に対して2件のコメントがあります。

  1. 福岡綾子 より:

    お友達のお子さんが、疲れていても夜は遅くまで起きていられるのに、朝が弱く起きれず、度々学校を休む生活が続いています。起こそうとしても暴れたりして、お母さんも腫れ物を触る感じでどうもできないそうです。
    一度病院に相談したら、携帯を1週間触らない努力をさせるとか、睡眠導入剤を処方されて、夜早く寝るようにと言われただけで、病名もつかなかったようです。でも薬を飲んでも寝ないそうです。
    4月から高校生になったので、早く原因があるならば解決できる方法を探してあげたらと思い、友人として、コメントさせてもらいました。

  2. あきなり より:

    こんにちは。
    よろしくお願いいたします。

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